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~海外で、仕事もプライベートも成功させたいあなたへ~

海外における「日本市場担当」の本当の役割とは

今回から、3回にわたり、「パートタイムで働くママが、どうやって中間管理職になることができたのか?」というテーマで、自分のトライ&エラーの実績と、現地企業の特質を分析しながらお話したいと思います。

今回はまず、海外で働くなら知っておいたほうがよいと思われる、「日本市場担当の本当の役割とは何か」、について、私が10年以上もの間、現地企業で働き感じたことをお話します。

1998年、日本ではちょうどISDN全盛期。
当時私が勤めていた会社も、ドイツ市場だけでなく、日本市場をどうにか取り込もうと、やっきになっていました。

(ちなみに、「ISDN」とは、電話やFAXデータ通信を統合して扱うデジタル通信網のこと。日本ではNTTが「INSネット」の名称でサービスを提供しています)


しかし、日本の技術的仕様は特殊で、諸外国と互換性がないものが多く、ISDNも日本市場特有のサービスや規格があり、欧州で販売されているソフトを日本市場用に変換するのは並大抵なことではありませんでした。

このころ、私が、会社に貢献した実績の一つに、「i(アイ)・ナンバー」対応というものがあります。
私は日本語の技術資料を英訳および独訳して、ドイツ人開発者にプレゼンし、日本市場向けの新しい機能として追加させました。

技術畑出身でない私にとっては、日本語で書かれてある技術資料を読んでもちんぷんかんぷんで、内容を把握するのにまず悪戦苦闘。それを、翻訳してドイツ人開発者に伝えるという作業は、本当の意味で「自分への挑戦」でもありました。

しかし、私にとって、ドイツ企業で初めて手がけた大きなプロジェクトだったこともあり、必死に取り組みました。苦労した甲斐があり、やり遂げた時の達成感は素晴らしく、感動も想像以上に大きくて、自分を信じるための階段を一段昇ったように思います。
そして、このときから、私はドイツ人上司や同僚たちから一目置かれるようにもなったのです。


そして、このプロジェクトを通して得た、もう一つの大きな発見は、会社側が期待する、日本市場担当の本当の役割」に気がついたことです。

それは、「自分から率先して、ドイツ企業が欲しがるであろう日本市場のデータをサーチして翻訳し、会社の上司や同僚たちに積極的に伝える」ということです


引っ込み思案のまま、自分にはどうせできないと思って逃げたままでは、絶対に得ることのできなかったノウハウでした。

この役割に気付き、実行するノウハウを習得してからの私は、会社の上司や同僚たちから、「みどりは仕事ができるし任せると安心だ」と思ってもらえるようになり、信頼されるようにもなっていきました。つまり、「この人だから大丈夫」、「この人でなきゃだめだ」と、周りに認めさせることができたように思います。

まず、「現地の企業の人たちが、どんな情報なら興味を示してくれるのか、どんなデータを欲しているのか」を見極めるためには、日々の努力が必要です。

慣れてくるまで、私は、敏感とも言えるくらい情報アンテナをビンビン立てて、上司や同僚たちとの会話、その反応を即座に読み取る努力をしていました。

相手が発する言葉や表情も一つ一つ見逃さずに、頭の中に記憶し、解読作業を常に行っていました。毎日ものすごく頭を使っていたので、正直、心労度もかなり高かったです。


でも、大半は「深読みのしすぎ」で、誰も怒っていないのに、「私の理解力が低いし、理解するまでの時間も長いし、絶対に嫌われた~」となどと勘繰ってしまい、次の日に同僚に謝ったりするのですが、見当違いがほとんどでした。
でも、おもしろいことに、それが好感度につながっていくこともあるのですから何が起こるかわかりませんよね。

余談ですが、ドイツ人たちはプライベートだけでなく、ビジネスの場でも、本当に思っていることをストレートに言い合います。日本人の私から見ると、大喧嘩しているのじゃないかと思うくらい激しい口論なのですが、彼らは言い終わった後すっきりしてまったく後に残りません。次の日、普通に笑いながら会話している同僚たちの姿を見て、「恐るべし、ドイツ人!」と思いました。


私はいまだに、元上司や元同僚とディスカッションした後、「言い過ぎたのではないだろうか」と気になり、心配になって相手に尋ねます。そして、彼らからは、「みどりは長いことドイツに住んでいるのにいつまでたっても日本人だね~」と言われています。

でも、日本人らしさを忘れなかったおかげで、日本のお客さまとの様々なトラブルが解決できたことにも多く、日本人感覚を持って日本人とコミュニケーションすることは、実は本当に大切なことだと言えます。


私が感じた「日本市場担当の本当の役割」をまとめますと、

 ①  自分から率先してドイツの会社が欲しがる日本市場のデータをサーチして翻訳し、会社の上司や同僚たちに積極的に伝える。

 ②日本人とコミュニケーションをするときには、日本人感覚が大切。日々、その感覚を忘れないよう意識する。


の2つになります。

 

オールラウンダーである重要性

 

次に、「オールラウンダーである重要性」についてお話ししたいと思います。第二章の「外国企業で快適に働くための5つのノウハウ」の6つめになります。

 

2001年9月。情熱を注ぎ込んで改良してきた日本語版ソフトが、ISDN人気の冷え込みと共にじわじわ売れなくなっていき、私は暇な時間をもてあますようになっていきました。そのとき私が考えたことは「転職」の2文字です。ブルーメ氏にはなんでも話すことがいつの間にかあたり前になっていた私は、ものおじすることなく転職したいことを伝えました。すると、彼はこんなことを言ったのです。

 

「今の日本はiモードがブームだ。新しいモバイルゲーム開発会社で、日本のビジネスパートナーと仕事を続けていきたいから、君の力がどうしても必要なんだ。一緒に働いてくれないか?」

「iモード(i-mode)」とは、NTTドコモが1999年2月に開始した、専用携帯電話を使用して電子メールの送受信やウェブページ閲覧などができるサービスのこと。欧州でも、日本のiモードブームにのっかろうという流れがあり、ブルーメ氏も日本のビジネスパートナーが欧州市場にアプリをラーンチする際に、ローカライズやデバッグや販売サポートを行うべく作戦を練っていたのでした。


私はブルーメ氏の言葉に感激し、この人についていこうと思い、「わかりました。あなたの新しい会社で働きます」と返事していました。


モバイルゲーム開発会社の最初の仕事として、日本のiモード向けアプリメーカーとの電話会議がありました。私にとって通訳は大の苦手の仕事であり、どうかうまくいきますように・・・と汗ばみながらテレカンに挑みました。

メーカー側に英語が堪能な日本人女性がいたので、私はただメモするだけで会議を終えました。その直後、また落ち込み、気がつけば感情に任せてブルーメ氏にこんなことを言っていました。


私 「通訳もできないし、翻訳もできないし、私がいる必要はないんじゃないですか?他の人の方がいいんじゃないですか?」

ブルーメ 「君にいて欲しいんだ。君はスペシャリストじゃないけれど、コミュニケーションサポートもできるし、アプリのテストもできる、オールラウンダーなんだよ。」


プロの通訳や翻訳並みの能力を持つ語学の達人でなければ、外国企業で働き続けることはできない...そんな私の固定概念は、彼の言葉で、木っ端微塵に砕け散り、空のかなたに飛んでいきました

「オールラウンダーであることも外国企業で働き続けるための条件になりえるんだ」
ということに気がついた瞬間でした。

 


ですがもちろん、ドイツ企業で営業スタッフとして働くのですから、ある程度語学はできなければなりません。そうですね、中級レベルが最低限必要だと思います。しかし、私の経験からも言えるように、必ずしも語学のプロである必要はないのです。むしろ、コミュニケーション能力会社が必要としているスキル(私の場合はアプリのテスト)を高める方が、より自分の存在を上司や同僚にアピールすることができるので、効果抜群ということになります。

とはいっても、「なんでもすぐに完璧にこなせる人」イコール「オールラウンダー」という意味ではありません

会社が求める様々なスキルや仕事に対して、ある程度幅広く対応できる人、またはその意欲がある人が、オールラウンダーと言えると思います。

つまり、何かに特化した能力がなくても、「私は広く浅く、いろいろできます」というのもスキルのひとつということなのです。

 

最近、私の古い友人から、こんなことを言われました。

「みどりさんって浅いから、何か一つ深い知識を持った方がいいんじゃない」

このとき少し心にトゲが刺さったような気持ちになったのですが、このコラムを書きながら、

そうだ、広く浅くいろいろできることも私の持ち味になるんだ!

と、自分自身の長所として、前向きに捉えることができました。

 

「オールラウンダーになるために必要なこと」は何かと言われれば、私は、誰でも、次のような姿勢があれば、比較的簡単に身につけられるスキルだと思います。

 

   ● 新たに与えられる課題に対して、積極的に取り組む
  
   ● 少しくらいの失敗でもめげずに努力を続ける
  
   ● 必要とされるスキルをその都度身につけていく
  
  ● コミュニケーションにおいて、諦めずに、粘り強く交渉し、努力でカバーする

 

実体験から声を大にして言うことができます。

海外では、スペシャリストでなくても、いろいろなことができる(やる気がある)、というもの能力の一つとして、必ず評価してもらえます!

 

もしかしたら、「オールラウンダーであること」は、外国企業で生き残っていくのに必要不可欠な条件かもしれません。

でも、それぞれの会社や、それぞれの上司によって、求められる「オールラウンダー」の中身が変化していきますので、会社のニーズや直属の上司の要求を見極めることが重要事項だとも言えます。


「日本市場担当の本当の役割」「オールラウンダーであることの重要性」に気がついたことにより、私は次に勤めるモバイルゲーム開発会社でも重宝される存在になっていきます。
しかし、当時はまだ、この2つのノウハウが、後に私を中管理職に導くことになろうとはこのとき夢にも思っていませんでした。


次回は、「パートタイムで働く日本人ママが中間管理職!でもどうやって(中編)?」になります。お楽しみに!

 

 

 

 

 

 

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プロフィール

ゲッべルみどり

ゲッべルみどり

ペンパルで知り合い、遠距離恋愛を続けていた、ドイツ人の夫との結婚を機に1993年に渡独。

ドイツ語を猛特訓しながら、現地で就職活動を行い、最初にアルバイト・パートとして5年間ジェトロに就職。
その後12年間ドイツ企業3社で会社員として勤務。2004年からは、中間管理職として、ドイツ人の上司や同僚、部下と悪戦苦闘しながら働く。

転職、昇進、育児休業、復帰、解雇、失業など、さまざまな経験を経て、2009年に独立。
現在は、フリーランスで、ビジネスコーディネート兼ゲームのテストサービスを行っている。
2歳年上の夫、7歳の長女とミュンヘンにて3人暮らし。

 ・ブログ
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