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愛すべきドイツ人大学生の部下たち

私は、中間管理職になるまで、大学とはまったく無縁の生活を送っていた私は、ドイツ人の大学生を部下に持つことなど夢にも思っていませんでした。

アルバイトのドイツ人男子大学生2名が私の最初の部下になる・・・。そう社長から告げられたとき、冷や汗がタラリと落ちるのを感じました。
日本人で働くママで、ゲーマーでもない私が彼らの上司になるのです。

「なめられてはいけない!」
それがまず頭に浮かんだ言葉でした。

私の最初の部下たちの年齢は、30歳と25歳。

「アラサーの大学生!?」とびっくりしていると、ドイツでは30代の大学生がいても不思議でないことがわかりました。
ドイツでは大学に入学するのが比較的簡単で、卒業するのが難しく、また大学生の年齢も様々で、日本のように18歳から22歳までが大学に通うという固定概念がないのです

アビトゥアを持つ者は、誰でも入学できるため、回り道をしてから大学に通う人たちもいます。

アビトゥアとはギムナジウム(9年生の大学進学のためのコース)の卒業試験と同時に、大学の入学資格試験の役割を持っています。資格社会のドイツでは大学卒業資格は、就活するときに非常に重要な要素になります。

30歳の部下は、ゲームテスター第一号で、一年の経験があり、部下でありながらも、モバイルゲームテスターの経験がない私にとっては、ある意味「先輩」みたいな存在でした。
しかし、私たちは「上司と部下」の関係であり、「先輩と後輩」の関係になってはいけません。

そして、ゲームテスターの数が増えてくるに連れ、私の部下への対応も十把ひとからげ的にできないことも認識するようになっていきました。そうです。部下一人ひとりとの関係がインディビジュアルである必要性が生まれたのです。

模索した結果、私が目指したものは、「アネゴ上司」になることでした。

具体的にどういことかと言いますと、次の3つを心がけました。
 

①        ときには親子の関係になる 

②        ときには監督と選手の関係になる 

③        ときには先生と生徒の関係になる 


①の関係を築くのは比較的簡単だと思います。

仕事に入る前に、まずは部下たちと世間話をし、体調や状態を尋ね、彼らのライフスタイルや悩みを把握します。

②の関係を築くには少し時間がかかるかもしれません。
なぜなら、部下たちの資質を見極めてから、良いところを伸ばし、悪いところは注意をして改めさせる作業をしなければならないためです。

例えば、この部下は長時間じっくりパズルゲームのテストができるなあと判断した場合、自力で全面クリアする仕事を与え、テスト終了時に結果報告をさせるようにします。集中力が時々途切れる部下の場合は、短めのテストを与え、テスト結果をその都度報告させるようにします。

③の関係は、①と②の関係が築けていれば発展させることができるものです。

それぞれの部下との関係は一過性のもので、彼らがゲームのテストの仕事を辞めてしまうと、基本的にもう出逢うことはありません。

しかし、大学卒業後、彼らは就活し社会人になります。私は社会人としての心得も彼らに教えました。 

ある一人の部下からこんなことを言われた経験があります。

それは、「上司というよりは同僚という感じ」。

私にとっては、部下からもらう最高の誉め言葉でした。

「あなたが言ったことは、すべてMUSTですし、それに今までどこも長続きしなかったアルバイトが一年以上続いています。あなたが上司でよかったです」

そう言われた時は、私はみんなが名前で呼びあうアットホームな雰囲気づくりをいつも心がけていましたので、真意が伝わっていることを確信し心が震えました。

リスペクトを失わない上司でいられるために私がやったことは、「脳をゲーム漬けにすること」。具体的には、空き時間をを見つけては、それこそ場所関係なく、ゲームのテストをし続けました。

社長から言われた顧客層は、主に10代後半から20代後半まで。ゲームテスターも同じ年代である必要がありました。
20名いた部下のうち30歳が最年長で20歳が最年少でした。私は35歳から41歳までゲームの品質管理責任者をやっていましたので、最年少の部下とは20歳近く離れていて、年齢差によるギャップがでないかどうか心配しました。

ところが、嬉しいことに私のオープンな性格とドイツ人部下たちのストレートな感情がマッチングしたためか、そんな心配は杞憂に終わり、みんなから慕われるアネゴ上司でい続けることができました。

そして、部下とのコミュニケーションで一番大切なことは、「リスペクトを持って接すること」

国籍、言語、年齢、趣味、嗜好、思考、生活環境等の違いは、ゲームをテストすることにかけては影響を及ぼしません。テストをするために、チェックアイテムリストをみんなで使用し、バグを見つけて、テスト結果をエクセルシートに書き込む。一連の作業を集中して取り組むことが一番重要なことなのです。

忘れもしない出来事として、こんなことがありました。

私は新しいゲームの仕様書を読みこなさなければならず、集中力が必要なときに、仲良し三人組の男子大学生がかなり長くおしゃべりしていたので、声を荒げながら、

「静かにしてくれない?」

と言ってしまったところ、ピタッとおしゃべりが止まり、お通夜のように無言になってしまったのです。

一瞬だけではなくて30分以上もその状態。
しかたなく、三人組の中で話ができる部下を別室に呼び、そのことについて相談したところ、

「あなたがリスペクトなしに命令したから僕たちは気分を害しているんだよ。でも僕たちの今の気持ちを聞いてくれてありがとう」

と言われ、はっとしました。

そして、おしゃべりをしていた三人組全員に向かって、

「さっきはごめんなさい。このゲームの仕様書を読むのに集中したかったからおしゃべりを5分くらいで止めてもらいたかったのよ」

と言うと、
「なんだそういうことだったのか。だったら大丈夫だよ」と、彼らも理解してくれ、また和気あいあいとした関係になりました。


ドイツ人はリスペクトされないことを一番嫌います。
リスペクトなしの対応をされると、すぐにやる気を失い、働かなくなってしまうのです。

そんなドイツ人性格を理解し、管理職として部下にどうアプローチしていくと効果的なのか気づくことができた出来事でした。

振り返ると、私は会社の中で初めての女性中間管理職で、ましてや外国人で働くママで、最初はフルタイムでもなかったため、かなり特例的な人事異動でもありました。

そして、ゲーマーでもない私がQAマネジャーとして部下たちに受け入れてもらえたのは、ドイツ人の外国人に対するわけ隔てない懐の大きさがあるからだと思います。
さすが、移民国家ドイツですよね。

次回は、「ドイツ人上司と日本人上司の違い」がテーマです。お楽しみに!

 

 

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プロフィール

ゲッべルみどり

ゲッべルみどり

ペンパルで知り合い、遠距離恋愛を続けていた、ドイツ人の夫との結婚を機に1993年に渡独。

ドイツ語を猛特訓しながら、現地で就職活動を行い、最初にアルバイト・パートとして5年間ジェトロに就職。
その後12年間ドイツ企業3社で会社員として勤務。2004年からは、中間管理職として、ドイツ人の上司や同僚、部下と悪戦苦闘しながら働く。

転職、昇進、育児休業、復帰、解雇、失業など、さまざまな経験を経て、2009年に独立。
現在は、フリーランスで、ビジネスコーディネート兼ゲームのテストサービスを行っている。
2歳年上の夫、7歳の長女とミュンヘンにて3人暮らし。

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