

最近では、日本在住の方だけでなく、海外に駐在している女性が、わざわざハワイへ行き出産をするケースも多いとか。そして、ハワイ出産を選択される方の多くが、その魅力としてあげるのが、「アメリカ国籍の取得」。
確かにアメリカは、「生地主義」を採用しており、アメリカで生まれた子どもは、両親の国籍に関係なく、アメリカ国籍を取得できます。
しかし、異国の地での出産は、さまざまな問題が想定されます。国籍だけを目的に、「ハワイに知り合いがいるから」「とにかく行けばなんとかなるだろう」と、安易に考えて渡航することはおすすめできないと、これまで数多くのハワイ出産をコーディネートしてきた「ハワイで出産」研究会では説明しています。
「ハワイ出産がとくに注目されたのは、2005年にジャガー横田さんが出産された頃です。しかし、実は、その直後、出産を目的としてハワイへ渡航する女性が殺到。混乱をさけるため、当時のハワイの入国管理局はチェックを強化したのです。実際に、事前に予備知識を得ないまま、個人で出かけた妊婦の方の中には、空港で入国を拒否されたケースもかなりあったようです。」
万が一入国を拒否され、強制送還されてしまうと、少なくとも以後10年間ほどは、アメリカ全土に入国できなくなってしまいます。経済的な負担だけでなく、いろいろなリスクが伴うことも忘れてはなりません。まして、妊婦の方は、もうひとつの命をキャリーしながら海を越えるわけですから、多方面での知識と、綿密な計画が重要です。メリットとデメリットをしっかり理解したうえで、憧れだけで選択せず、慎重に検討しましょう。
まず、ハワイ出産のメリットと、意外に知られていないデメリットをうかがってみました。
★国籍を取得することで得られるメリットとは
・米国での滞在が自由。つまりビザなしでいつまでも長期滞在ができる。
・米国での教育が18歳まで無料で受けられる(公立校)。しかも大学も、公立大学に進学すると留学生に比べ学費が格段に安い場合がある。
・合衆国の保護を受けられ、各種社会サービスを受けることができる。
・子供がアメリカ国籍を持っていると、アメリカに入国する際、入国審査で同行した親もアメリカ人専用レーンを使用できる。
・将来アメリカで就職するときに有利な場合が多い。
子供が22歳になったときに、子供を保証人として、親もグリーンカードを申請できる。しかも、グリーンカード発給で年間発行数の制限がない「非優先区分」の3項に該当するため、取得できる可能性が高いといわれている。
この点が、グアムやサイパンとの大きな違い。グアム、サイパンには、日本語を話せる産婦人科医師はおらず、医療、施設ともにハワイの方がレベルが格段に高い。
ハワイは気候が温暖で、本土と比べ、比較的治安がよい。また、人口の30%以上が日本人、日系人ということもあり、日本語がある程度通じ、日本の食材やDVD、書籍なども簡単に手に入る。テレビやラジオで日本語放送もあるので、長期滞在には向いている。
さらに、ワイキキ内であれば、簡単に流しのタクシーがつかまるので、急に産気づいたときにも安心。(ちなみにアメリカの救急車は有料)
行きは5時間半、帰りは約8時間。長時間移動がつらい妊婦さんでもなんとか耐えられる距離。また、行きの飛行機は深夜便なので、日本の家族が、夜遅くに飛行機に飛び乗っても、翌日の朝にはハワイに到着できる。
ハワイでの出産は検診、分娩、入院含め保険対象外で基本的に全額自己負担。しかも、生まれた赤ちゃんに対しても滞在中は保険が効かない。大まかな金額は、出産&入院だけで、1万~1万5000ドル、母子ともに一泊延長すると1000ドル、帝王切開するとプラス約4000ドル、万が一、乳児が未熟児で、1か月保育器を利用すると10万ドル程度が必要になるケースも。
ハワイ出産をする際、ほとんどの方が、約 3カ月間、現地に滞在します。その理由は、出産一カ月前~予定日の期間は、赤ちゃんがいつ生まれてもおかしくない時期なので、予定日の一カ月前には、現地にいる必要があるから。さらに、産後、赤ちゃんの鼓膜がつくまで(個人差があるが約2~8週間)は、飛行機に乗ることができないため。そのため、出産費用以外にも、約3カ月間の滞在費、生活費も必要。しかも、ハワイは全米でも物価が高い都市で、ほぼ東京並み。家賃、食費など含め高額。
入院期間は日本と比べ、とても短いのが海外出産の特徴。ハワイでも、出産したら翌日には退院するのが一般的です。帝王切開でも3日で退院。そのため出産する際、自然分娩に比べ体の回復が早い無痛分娩を選択することが普通です。それでも、「帰宅後は大変」という声は多く聞かれます。とくに、初産の方は、初めてのこととばかり、しかも海外出産という緊張も重なり、肉体的にも、精神的にも産後の疲れは大きいと思われます。自分以外にだれか産後のケア、特に生活面でサポートしてくれる方が一緒に滞在してもらえると安心です。
出産後も、出生届やSSN(ソーシャル・セキュリティ・ナンバー)の申請や、帰国のための渡航手続きなど、さまざまな事務手続きが必要。アメリカの役所では日本語は全く通じない上に、書類にミスがあると、滞在期限内に必要な手続きが完了しないこともあるので注意が必要。書類の手配だけでなく、母体や赤ちゃんが病気になった時、など、細かいところでやはり語学力や専門の知識があったほうが安心。
海外に住んでいても、必ず徴兵登録は必要。登録しないと罪となり、大学の奨学金がもらえないなどの社会的ペナルティや、罰金などが課せられる可能性がある。
経済的、身体的な様々なリスクを考えても、ハワイ出産を希望する理由として、「アメリカ国籍」が取得できるからと答える方が多いようです。将来的に、子供や親が、アメリカに留学、長期滞在することを計画している人にとっては、ハワイ出産は魅力的なのかもしれません。しかし、出産は、命に関わり、人生に関わること。安易に決めず、慎重に考えたいものです。
取材協力:「ハワイで出産」研究会
http://www007.upp.so-net.ne.jp/baby-hawaii/







合計 13800ドル~20400ドル
合計15000ドル程度(3ヶ月間)
合計 28800~35400ドル
※上記の金額には渡航費は含まれません。また金額はあくまで目安です。生活費は個人差が大きく、また、渡航時期、出産状況などによって、金額は大きく変わりますのでご注意ください。

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