子育てワールドリポート

世界で活躍するライター&ジャーナリストによるリレーコラム。
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フィンランドNo.1 フィンランドの出産事情

靴家さちこ

プロフィール

靴家(クツケ)さちこ/KUTUKE Sachiko
(本名:ステンルース幸子)

1974年生まれ。フィンランド在住ライ ター。青山学院大学文学部英米文学科を卒業後、米国系企業、フィンランド系企業を経て、フィンランド人の夫との結婚を機に2004年よりフィンランドへ移 住。共著に『ニッポンの評判』(新潮社)、『住んでみてわ かった本当のフィンランド』(グラフ社)などがある。2008年にはフィン ランドで初めて出産、二児の母となる。日本での長男の出産とフィンランドでの次男の出産を比較しながら綴った連載、「日本とフィンランド産み比べ」は『地 球で子育て!』のWebサイト(http://chikyumaru.net/chikyudekosodate/cat37/cat38/) にて好評掲載中。
Global Pressメンバー

2008年の次男誕生を機に、フィンランドで初めての出産を経験しました。その時の経験を元に「フィンランドの出産事情」をお伝えしたいと思います。

まずフィンランドでは、病院やクリニックの診察で「妊娠」が確定したら、保健センターのネウヴォラ(相談所)に予約を入れます。ネウヴォラでは、アイティウスコルッティ(母手帳)を発行してもらい、出産間近まで検診で十数回足を運びます。

こちらが、妊娠してから出産に至るまでの母体の健康状態を記したアイティウスコルッティ


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検診は、妊娠9カ月までは月に1回、9か月以降は月に2回、臨月には週に1回、尿検査、体重、血圧、子宮底、腹囲の測定と、12週、28週と36週目には医師による診察もあります。第12週と20週目には、先天性の障害の有無を調べる超音波検査があり、最寄りの総合病院の産婦人科で受診します。これらの検診、検査費用は全て無料です。 妊娠5カ月目に入ると、国からアイティウスパッカウスと呼ばれる特大段ボールに入った赤ちゃんの必需品セットが支給されます。この箱の大きさは北欧最大と言われており、中に布団を敷けばベビーベッドとしても使える優れもの。

↓ヨコ50㎝×タテ70㎝の大きなつづら、アイティウスパッカウス



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↑アイティウスパッカウスの中にはぎっしり、赤ちゃんのおくるみ、オーバーオール、おしゃぶりに肌着などが詰め込まれています!

↓さらに中身を取り出し、同梱されていたマットにシーツを敷いて、お布団をかければ赤ちゃんベッドのできあがり。
  


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他にも、産前産後を含む母親休暇と両親のどちらかが取れる両親休暇が合わせて263日あり休暇中でも収入の約7割が保障されます。母親の育児休暇は、3年間。264日以降は無給になりますが、職場復帰の際に元の職種に戻ることが保障されています。


出産、入院生活については、フィンランドでは麻酔による無痛分娩が基本で、母子ともに3日ほどで退院します。

私の場合は、まだ陣痛が弱いうちに病院に来てしまった為、胎児の心拍数と血圧を計る機材をお腹に巻き付けられたまま、待合病棟で一晩過ごしてしまい、翌日に本番を迎えました。

まず陣痛促進剤を投与され、人口破水の処理が施され、陣痛が強くなってきたところで笑気ガスを吸引。医師の指示通りに「痛みが充分強くなってから、助産婦さんを呼ぶ」つもりで我慢していたら、もう頭が出てきてしまい、そのまま自然分娩してしまいました。

元気いっぱい産声をあげて出てきた次男は、臍の緒が付いたまま私の胸に乗せられ、初乳を飲んでから、臍の緒が切られ、身体を洗われ、体重身長などが測られました。

私は助産婦さんにお腹を押されて後産を済ませ、シャワーを浴びてから、サンドイッチに紅茶、ヨーグルトなどの軽食をいただきました。そして、この後すぐに母子同室で、授乳におむつ替えに24時間体制で次男のお世話を開始しました。
(一日でも早く赤ちゃんを迎えた新生活をスタートさせたい家族には、料金が二倍のファミリールームもあります)                                                                       
私が入院したヘルシンキのキャティロオピストでは、外国人には英語が話せる助産婦さんが付き、日本では長男の時にも授乳で苦労したと話すと、おっぱい指導の専門家を病室に呼んでくれ、夜中に次男が泣き続ければ、助産婦さんが数時間預かってくれて、方々で温かい手が差し伸べられました。

入院費は、普通に3日で退院すれば75ユーロほどで済みますが、私の場合は6日間の入院で200ユーロ弱かかりました。支払いは家まで請求書が送付されるので、退院時に会計に並ぶ手間がありません。

入院生活の出来事で今でも忘れられないのは、スイカやミカンを入れるのに使う、網のようなパンツをはかされたことです。入院中の赤ちゃんの産着やママ用のパジャマは病院のものが借りられ、入院準備は楽でしたが、通気性が良く傷の回復を促すというこの網パン......とても不思議な履き心地でした。

また、深夜に巡回してきたフィンランド語しか話せない高齢の助産婦さん。見た目も森の妖精みたいだったのですが、彼女が「エイオオ、ミタ、ハタ(大丈夫よ)」と囁き、背中をポンポンするだけで次男がピタッと......魔法のように泣きやんだこと。彼女は、他の赤ちゃんも次から次へと泣きやませて歩きまわっていました。

そして最後に、血糖値検査。新生児の平均体重が4キロ前後というフィンランドでは、3キロ未満で産まれてきた赤ちゃんには、血糖値の検査が課せられます。次男は2950グラムで産まれてきたので、この検査の対象となりました。足の裏から採血される時に泣くのが可哀想でしたが、低体重児の血糖値は、脳の生長に悪影響を及ぼすことがあると医師にもなだめられ、退院まで検査を続けました。

以上が「フィンランドの出産事情」です。出生率1.8パーセントを支える良い制度やシステムが満載!ですよね。これで無痛分娩さえ出来ていたらパーフェクト。フィンランドに限らず、無痛分娩を予定されている妊婦の皆さん、我慢のしすぎにご注意です!

↓ちなみに、アイティウスパッカウスに入っていたオーバーオール。肌触りが良く、着せると走り出すほど次男のお気に入り。

baby.jpgのサムネール画像

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