子育てワールドリポート

世界で活躍するライター&ジャーナリストによるリレーコラム。
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韓国No.2 韓国の幼児期から始まる「英語教育熱」

原美和子

プロフィール

Miwako HARA(ハラ ミワコ)

1977年生まれ。大学卒業後、韓国系企業に就職し、企業研修のコーディネートや翻訳を担当。
その後、結婚を期に2002年より韓国に移住。
2005年より出産、育児のかたわらライター業に携わり、これまで韓国関連を中心とした旅行、芸能、時事、文化、教育など多分野での記事を執筆。
なお、2009年8月より、韓国人の主人の転勤に伴い、タイに在住。
韓国、タイと異なった海外生活を通じて、さらなる執筆活動を継続中。
Global Pressメンバー  

韓国の英語教育熱って?

韓国と言えば、何かと幼児期からの「教育熱」や激しい「大学受験」などが日本でも度々メディアにクローズアップされたりします。

これに加えてここ数年、加熱してるのが「英語教育」。日本でも幼児英語教室など幼少期からの英語教育に関心が集まっていますが、韓国の英語教育熱はさらにその上を行く勢い!そこで、今回は、その韓国の英語教育の実情についてお届けしたいと思います。

韓国で英語教育の必要性が叫ばれるようになったのは1980年代後半から。1988年に開催されたソウルオリンピックを契機に、韓国での国際交流が加速度的に進みました。その後、教育現場に於いても英語教育を取り入れる動きが活発になり、1997年には小学校での英語教育が義務付けられました

そして、現在では、未就学児への英語教育もほぼ全ての幼稚園や保育園でも行われています

 2004年生まれの私の長男は昨年まで3年間、韓国で幼稚園に通っていました。長男の幼稚園は、民間の私立の幼稚園でしたが、満3歳児(韓国では満3歳児からの幼稚園入園が可能)のクラスからほぼ毎日英語の授業があり、この他、週1で外部からの英語の専門講師による授業も行われていました

 「授業」と言っても、未就学児を対象としているので、英語の歌やゲーム、劇など「遊びながら楽しめる」というスタイルを取り入れながらのものが多いようです。 

また、韓国では、こうした英語教育ブームが追い風となり、「英語幼稚園」も人気を集めています。「英語幼稚園」とはネイティブスピーカーの教諭を中心に、園内での会話、授業は全て「英語」というのがセールスポイントの幼稚園。

 そして、気になる授業料や諸経費を含めた費用は間1,800万ウォン(日本円に換算して何と約128万円!)にのぼると言われています。この額は、韓国の私立大学の平均的な年間授業料と比べて2倍とのことですが、それでも、入園希望者が絶えず、高い人気を維持しているというから驚きです。

韓国の平均年収が3,500~4,000万ウォン(250~285万円)ということを考えると、いかに子どもの教育費に比重がおかれているかが分かります。こうした幼児期からの莫大な教育費の投資や、家庭の経済的な格差が教育の格差をも生み出していることが、韓国の少子化の理由としても挙げられるのではないでしょうか。

 

もう一つ、韓国の「英語教育熱」を象徴しているのが、「キロギアッパ」の存在。

「キロギ」は韓国語で「渡り鳥」、「アッパ」は「お父さん」という意味ですが、小学校在学中など幼少期に子どもが英語圏に留学し、その留学に母親が同行、韓国に残った父親がひたすら留学中の母子に仕送りをするという姿を「渡り鳥」に例えたことから呼ばれるようになりました。

 こうした家庭は決して特別ではなく、ソウルや釜山など主に都市部でよく聞かれる話で、早期留学の行き先としてニュージーランドオーストラリアこれに加えて英語圏に比べて生活費全般が比較的安い東南アジアのフィリピンマレーシアのインターナショナルスクールに行くケースも増えているとのことです。

 

しかし、こうした加熱する早期の留学に対して、韓国政府も早期留学の規制に乗り出しました。
 海外への留学は、中学生以上の学力を有する者とし、早期留学」を目的としているのに、渡航先に(児童、生徒が)「研修ビザ」、「観光ビザ」で渡航するといった動きを発見した場合には、在籍する学校に通報する、早期留学を終えて韓国の学校に復学の場合は、場合によっては、(義務教育であれど)留年など何らかのペナルティが課せるなど、警告含めいろいろと対策を検討しているものの、英語熱、早期留学熱はまだ当分続きそうです。


その反面、実際に早期留学を経験した子ども達の中に、母国語(韓国語)の低下や、長い海外生活でのストレスで精神的に不安定になるケースがあるとの指摘や、家族が離散した状態による経済的や精神的な負担が大きさから、最終的に家庭が崩壊してしまうというケースも耳にします。

「外国語教育は幼児期」からという神話を信じるあまり、安易で過度な英語教育に走り勝ちな印象を受けますし、早期からの英語教育が全ての子どもにとってプラスになるとは言い切れないのではないでしょうか。

 

韓国を出てみると...

そして現在、私は主人の仕事の関係でタイに住んでいます。タイには多くの外資系企業も進出し、駐在でタイに在住する日本人、韓国人家族も多く見られます。そして、日本人家庭でも、韓国人家庭でも海外転勤での一番の気がかりは、やはり「子どもの教育」についてではないかと思います。タイ現地では、バンコクを中心にそれぞれ、日本人学校と韓国人学校がある他、インターナショナルスクールも数多くあります。

選択肢はそれぞれの家庭によって異なりますが、インターナショナルスクールの生徒数の国籍別の統計を見ても、トップ3には必ず、日本人と韓国人が占めている所も多いこと、日本人学校や韓国人学校に在籍している生徒の場合でも、学校での英語の特別授業や、個人的に英語のプライベートレッスンを受ける割合が多いです。やはり、ここでも韓国人の英語教育熱に加えて、日本人も英語教育には熱心であるということを実感します。

 

私の個人的な意見としては、「語学は年齢が低い程、吸収しやすい」ということに関しては、子どもは大人のように「発音」、「文法」、「間違い」といった固定観念にとらわれず、耳から聞いた事を真似て覚えて行く様子を見ていても、「吸収力」は優れていると感じます。

しかし、子どもと言えど、やはり、語学の習得の向き、不向きや習得の進度も個人差が大きいのが事実であります。幼児期からの英語教育に関しては、親が強制させるものではなく、まずは「いかに子どもが英語に興味を持って溶け込んでいけるか?」という環境作りが重要ではないかと思っています。

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幼稚園での授業参観の一コマ。韓国の幼稚園や保育園ではほぼ英語授業が毎日のように行われていて、その成果を発表する発表会や授業参観が年に数回開かれます。

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幼稚園で使用されている英語のテキスト。英語の歌や、童話、日常会話などが盛り込まれています。

 

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