子育てワールドリポート

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フィンランドNo.8 苦楽を共に?フィンランドの休暇事情

靴家さちこ

プロフィール

靴家(クツケ)さちこ/KUTUKE Sachiko
(本名:ステンルース幸子)

1974年生まれ。フィンランド在住ライ ター。青山学院大学文学部英米文学科を卒業後、米国系企業、フィンランド系企業を経て、フィンランド人の夫との結婚を機に2004年よりフィンランドへ移 住。共著に『ニッポンの評判』(新潮社)、『住んでみてわ かった本当のフィンランド』(グラフ社)などがある。2008年にはフィン ランドで初めて出産、二児の母となる。日本での長男の出産とフィンランドでの次男の出産を比較しながら綴った連載、「日本とフィンランド産み比べ」は『地 球で子育て!』のWebサイト(http://chikyumaru.net/chikyudekosodate/cat37/cat38/) にて好評掲載中。
Global Pressメンバー

 フィンランドの夏休み事情

フィンランドでは、半年以上の勤務を終えた正社員には4週間分の有給休暇が保障されます。そこまで言うと、「夏休みが1カ月ぅ!?」と幻聴のように聞こえますか?そこにプラス「学生の夏休みは10週間で、宿題が無い」と聞いたら、私を嫌いになる人もいるかもしれません。

私自身も子どもの頃、アメリカでは学校の夏休みが一カ月で宿題が無いと聞いて、「アメリカ人に生まれ変わって人生をやり直したい」と言い放ったことがありますが、似たような夏休み環境にあるフィンランドに暮らすようになって、ちょっと見方が変わってきました。


まず、冒頭の部分を読んでいただいたところでお気づきでしょうか。子どもの休みの方が親の休みよりも二倍近く長いのです。さらに、高緯度で、一年の半分が闇と寒さに覆われるこの国でいわゆる「夏」とは、夏至の6月のこと

白夜の沈まない太陽をたっぷりと浴びながら、朝から夜遅くまで、サイクリングに、サッカーに、プールや湖での水泳と、楽しいアウトドア活動が満載のこの季節に、休みたくない人なんていません。
 

ゆえに、運が悪いと5月に早くも夏休みがあてがわれてしまったり、忙しい事業主や部長レベルの人達は、8月に入ってやっと休みが取れたりと、夏休みが夏の間にとれるかどうかも怪しいのです。

そして、共働き率が7割というお国柄、両親とも同時にそれぞれの職場から休みが取れる保障はなく、両親の休みを上手く重ねてつなげて、やっと子どもの夏休みをカバーできるかどうか。そんな綱渡り的な夏休み計画の例を一つ、挙げてみましょう。

 

例:パパの休み6月5日から7月5日まで

  ママの休み6月29日から7月29日まで

  子どもたちの休み 6月5日から8月15日まで

実情:子どもたちの夏休みが始まると同時にパパだけ休みに入り、ママは通常通り勤務。パパの夏休みが残りあと一週間となったところでママも夏休みに突入。この間、サマーコテージに行ったり、国内/海外旅行に出かけたりする。ママの夏休みも終わってしまうと、夫婦そろって通常勤務体制に入り、子ども達は両親の祖父母の家やボーイスカウトのキャンプに行くなどして、残りの2週間をやり過ごす。

こんな調子ですから、5月ぐらいから「夏休みはいつから?旦那(奥)さんと同時の休みはどれくらいとれた?」というフレーズが挨拶代わりになりはじめます。


「夏の未亡人」とは!?

フィンランドでは気象の悪さから、冬になると鬱になって「こんなところ人の住む所じゃない」とまで言う人も出て来ますが、そんなフィンランドでも夏だけは良い季節なのだから、「夏に国外に出るなんてバカだ」という意見が大多数。

夏休み中は、共働き生活の忙しさでなかなか会えない親せきや友人と会ったり、国民の多くが所持しているサマーコテージに家族ぐるみで招待し合ったり、キャンピングカーで国内一周旅行に出かけるなど「国内」アクティヴィティーを満喫します。一方で、そんなフィンランドの夏でも、雨続きの「冷夏」も珍しくは無いので、「夏まで悪天候だったら立ち直れない」という理由で、ギリシアやスペインなどのビーチリゾートで「はずれの無い夏」を満喫する「海外」派もいます。

しかし、そんな家族全員が揃っての「ウキウキ・サマーホリデイ」は1週間か多くて2週間。上手く1カ月まるまる一緒に休めたところで、日頃からあまりじっくりと一緒にいることがない夫婦が子ども達とも一緒になって、毎日どうしていいやら途方に暮れるというのが実情だったりもします。

余談ですが、フィンランドは離婚率が50%と欧州でも指折の高さで、離婚件数の半分以上が夏休み以降に発生するものだと言われています。

では、子ども達の視点から見るとどうでしょう?もちろん「宿題が無い」のに異論は無いようで、さらに長きに渡って学校が無いなんて最高!だそうです。

しかし、日本のように、町内会でのラジオ体操が無く、学校での水泳指導も無い、宿題もない子ども達は、夏休みの間中、ほとんど家で時間を持て余しているので、結局、市営プールで開催されている水泳教室やテニススクール、サッカーチームの練習にマウンテンバイクの講習会など、様々な習い事に足を運んで時間をつぶします。

それでも、習い事とご飯の時間以外は全くの自由時間。陽が沈むのも遅いので、夕方6時過ぎに夕飯を食べてから、再び外に遊びに出かける子どももいます。

ちなみに、フィンランドでは、夫が転職したばかりで有給休暇が2週間と少なく、夏休みも返上で働いている家庭の奥さんのことを「夏の未亡人」と言います。夏休みだというのに家に居ない夫は亡き者とされているあたりに、強い殺意を感じる言い回しです。


年間の休暇・行事

さて、最後に、フィンランドの学生の一年間の休暇を全て書き下しますと、

 

8月中旬:新学期スタート

10月下旬:秋休み(1週間)

12月下旬から1月上旬:クリスマス休み(3週間)

2月:スキー休み(一週間)

3月下旬か4月上旬:イースター休み(3、4日)

5月1日:メーデー

6月上旬:夏休み(2カ月弱)

と、まだまだこんなに休みがあります。

秋休みは、収穫の月に農家の子ども達が家の手伝いをする為の休みの伝統の名残ですが、新学期から祝日無しでずっと勉強し通しだった子ども達にはちょうどいい骨休めになります。

が、働く親にしてみると、夏の長期休暇が終わったばかりでまたすぐに休みが取れる保証もなく、またどこかに出かける与力が残っているわけでも無く、ちょっと難しい休みとも言えます。

ありがたいことに、私が住んでいるケラヴァ市では、子ども達の為に、市や団体が企画した、映画やお芝居、図書館での読み聞かせや工作教室などの催しものがたくさんあり、その案内が学校から一冊の小冊子となって配られてきました。

休みの中で最も大切なのは、サンタクロースがやってくるクリスマス休暇です。子ども達はアドベントを通して12月まるまる一カ月を、家でジンジャークッキーを焼いたり、クリスマスツリーの飾りつけの手伝いをしたりして、サンタクロースの到来を待ちます。プレゼントの数は子ども一人に平均10個前後と言われています。 

それと同じくらい重要なのは、スキー休みです。

夏の白夜と同じ勢いで日照時間が5時間にも減少する冬の間に、ちょっとでも雪が降れば、それは大きな自然の恩恵。北国とはいえ、湿度が低く温度も低すぎる為、積雪量は日本の豪雪地帯と比べると、驚くほどに少ないのです。雪の白さで周りが明るくなり、さらにスキーをする楽しみも増えるので、その恩恵をたっぷり享受し、ノルディックスキーを楽しむ人々の姿があちこちで見られます。

以上が、フィンランドの休暇事情です。いかがです?

休みがたくさんでも楽では無さそう?でしょう。両親ともに日々是カレンダーとにらめっこの様子が伺い知れましたでしょうか。

(写真キャプション)


  Finland-1.jpgのサムネール画像

夏のフィンランドと言えば湖。魚を釣ったり、泳いだり、サウナの後に飛び込んだり。



  Finland-2.jpg

サマーコテージの近くの、白樺が生い茂る森での散策もまた楽しい。

 

 

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