子育てワールドリポート
世界で活躍するライター&ジャーナリストによるリレーコラム。
出産、医療、エコ育児など、様々な海外情報をお届けします
プロフィール
狩野誠 MAKOTO KARINO
サンチアゴ在住。
2009年3月に都内某貿易会社での職を得て、チリ現地法人へ出向。
2010年7月に正式に現地女性と結婚。
嫁、嫁の連れ子との生活もはや一年が経過し、紆余曲折ありながらも何とか3人で暮らしています。女性とは若干異なる見方、ならびに実の父親とは異なる継父としての子供への見方や接し方等、日々気づくことや悩むことありますが、チリ国にて経験したことや感じたことを読者のみなさんにわかりやすく書き、また各国で子育てに頑張る皆さんと少しでもいいアイデアや知恵が出し合えたら幸いです。
第一章にて小生がチリ人女性と結婚し、現在彼女とその連れ子と3人で暮らしていることを綴った。
チリの子育てについて話をすすめていく上で、小生には一つの欠落部分がある。
小生は嫁の妊娠ならびに出産に立ち会ったことがない。
嫁曰く「妊娠し出産するということは格別な苦しみと喜び」とのこと。
男でありなおかつ継父である小生にとっては未知の世界であるが、いずれは嫁との間に自分の子供をもつことを望んでいる。そのために妊娠および出産とはいかなるものかを、嫁は自身の経験をもって小生に伝えている。
嫁は大学在学中に現在の息子(9歳)を身ごもった。
若干21歳で母親となり学業と並行して子育てを行うことは決して楽なことではない。
しかしながら彼女はいばらの道を敢えて選び、健康な男児を無事出産した。育児を決して放棄することなく今に至っている。
日本では妊娠中絶は合法的に行われているが、チリでは違法である。
極秘に中絶を行う闇医者もある。
しかしながら妊娠中絶はチリ人女性にとって大きな精神的なダメージを与える。
子をお腹に身ごもった時点でその子には生命が宿り、中絶することはその子の命を奪う言わば殺人行為だからである。
これらの考えからチリでは未婚の母は数多く存在する。十代で母親となる女性も決して少なくはない。
しかしながら、彼女たちに対する社会的偏見や差別はない。むしろ皆から祝福され、生まれ来る子供の母親となることに誇りを持つくらいである。
その一方で、子供を育てる上での責任は父親、母親とも背負わなければならない。
子供にとってベストなケースは父親、母親が別居ないし離婚等せず、双方の愛情を一身に受けられること。しかしながら、この国においてはこうしたケースは決して多くはない。
出産したものの夫との折り合いが悪く、別居ないし離婚するケースは数多くみられる。
結果として、子供は片親に育てられることとなる。
ほとんどのケースが母親に引き取られ、別居の父親は毎月一定額の養育費を子供が18歳になるまで負担しなければならない。
しかしながら、毎月きちんと養育費を期日までに支払う父親はめずらしい。ほとんどのケースにおいて遅延ないし未払いは当たり前だ。
こうした場合、その養育費の支払いは子供の父親の兄弟ないし両親が肩代わりしなければならない。それでも支払いを行わなかった場合、裁判を起こせば、強制的にこの父親は刑務所送りとなる。
小生の連れ子の実父については、状況は難しくもあり、単純でもある。養育費の遅延は時折ある。
しかしながら、この実父の家族に養育費を要求することも刑務所に送ることも一切考えない。
連れ子を時々この実父の家族に預けることがあるからだ。
嫁や連れ子に惨めな思いをさせなければ、小生は一切口出ししない。
連れ子も9歳となり、自分自身に実父と継父が存在することは知っている。
小生を父親と呼ぶことはごくまれだが構わない。
ある日、この子が嫁に吐露したことだが、小生は彼にとって父親というよりよき友達とのこと。
小生はこの関係で構わない。
むしろ彼が小生を父親と思えないにもかかわらず、無理やり父親と呼ばせることに強い抵抗感がある。生みの父親と育ての父親がいても構わないではないか。
ただし、実父が新たに女性と結婚しても、この女性を「お母さん」と呼ぶことには反対だ。
この子の産みの苦しみ、育ての大変さを今まで一身に背負い、責任を放棄せずにやってきたのは小生の嫁だからだ。
だから彼にとって二人の母親はいらない。小生の嫁が、彼が産まれて死ぬまで永遠の母親だからだ。
「アミーゴ」であろうと「パパ」であろうと、小生は常に何をどこまですべきかを考えて、嫁と子供が決して惨めな思いだけはしないよう精進するのみである。











