子育てワールドリポート

世界で活躍するライター&ジャーナリストによるリレーコラム。
出産、医療、エコ育児など、様々な海外情報をお届けします

カナダNo.13 パパが体験したカナダ出産事情

亀谷長政

プロフィール

亀谷長政 Nagamasa Kameya

福岡出身。高校卒業後、単身カナダへ。ワーキングホリデー、留学、就労ビザを経て、97年カナダ移住。2003年よりローカルの日系新聞「バンクーバー新報」でライター記者としてデビュー。現在米国企業でプロジェクトマネージャーとして就労する傍ら、英語でのコミュニケーションを題材にしたコラム「気持ち英(え~)会話」を5年間連載中。カナダ人の妻と3人の子供を持つ頑張るパパ。バンクーバー在住。

はじめまして。
カナダからの子育て通信を始めました!

「子育て」と言っても少し硬い気もするのですが、まあ自分は子育ての分野では本を書くような権威者でも、育児教育を専攻したわけでもないので、どちらかと言えば自分の体験記にしかなりませんが、それでも読者の方がカナダでは親がどんな教育の仕方をするのかなどの「雰囲気」さえわかってもらえればと思っています。

またさらに多くのお母様読者には、「父親」から見た観点からの「子育て」を読んでいただければ幸いです。

子供は3人です。

女の子が一人と、下に男の子と、「一姫二太郎」セットでした。
その後数年後もう一人男の子が加わり、家族ますますにぎやかになりました。

初めて子供が生まれることになったときはあっという間の9ヶ月でした。
それというのも妻が初めて妊娠したのが結婚してたった5ヶ月目だったので、逆にある男性たちが抱くような、赤ちゃんが生まれてくることに対する恐怖心が沸くよりかは、どうやって妻と二人で赤ちゃんを産むのだろうかという思いで時間が経っていきました。だからお産中に対する取り組みも、食事法から、プリネイタル・クラス(これは後で紹介)も、二人でやっていくものなんだとはじめから思い込んでいました。これは今考えても、成り行きではあった部分もありますが、一生懸命であった分、若いながらにしてそういう風に自分が物事を見れて良かったと思います。

なんだかんだ言って、結局は妊婦がすべて担っているのは確かです。当然のごとく赤ちゃんがおなかの中に(しかも下の部分に!)いるわけで、なかなか寝れない夜もありますし、(僕の妻はよく「ウ~ン」と寝ながらうなっていました)、決まって夜になっておなかの中で赤ちゃんが暴れだすこともありました。

そんな中、旦那を見ると、なんと!ガ-ッと爆睡しているわけですね。妊婦はかがむときも、つまずくときも、驚くときもすべて赤ちゃんに与えうる影響のことを考えてしまいます。そんな中、旦那はというと、仕事帰りに友達を前触れもなく家に連れてきたりするわけですね。赤ちゃんのことを決して忘れているわけではないのですが、なかなか関連付けて物事を考えることが難しいです。(特に奥さんの気持ちになって!)

それはカナダでも妻が夫たちに関して愚痴る内容で、その部分は日本とはあまり変わりないかもしれませんね。

その証拠(?)に自分は妻が妊娠中に2度(しかもいずれも妊娠後期)引越しをさせた大ばか者です。

そんなおばかな旦那でも、二人で赤ちゃんを産むんだという認識を持っているのと持っていないのとでは大きく違いがあります。

まずは妻だけが赤ちゃんを担っているのではないんだということを行動であらわすことによって、妊婦の精神面での安堵感が違います。

さらにそうすることによって赤ちゃんが生まれる前から二人で子育てに取り組むのだという姿勢を持つことによって、準備期間を有意義に過ごすこともできました。妊婦の検診や、超音波検診などにできる限り仕事を休んで、妻と二人で行く男性はカナダでは普通とみなされており、会社でもそれが問題になるのはかなり珍しいほうです。

big belly.jpgのサムネール画像
初めての出産を迎える妻ダーシー

超音波写真(Ultra Sound)

とにかく女性のすごいところは妊婦になったとたんすべてが週単位で数えられるようになることです。

今何週間だから検診を受けるとか、超音波検査に行くとか、自分はまだ月ごとに物事を考えているということを言えずに、妻から伝えれるがまま一緒に行きました。

2回目の超音波検査では性別を知ることができる時期でしたが、初めての赤ちゃんということもあり、性別は赤ちゃんが誕生してから知るほうが驚きと感激が増し加わるだろうということで、あえて超音波の器具をグリグリしている技師の方に聞くことはしませんでした。

これは後で知ったことなのですが、カナダ(この場合自分が住むバンクーバー地域全般)では、超音波写真を取り扱うクリニックでは性別を教えることをしないというポリシーを持つ場所がほとんどです。

その理由も、ある民族分化を背景とする人々の中では生まれてくる赤ちゃんの性別を知ってから赤ちゃんを堕胎する例もあり、そうした事例を防ぐ意味でもそうした文化からの移民人が密集している地域では特にそうした配慮がされています

しかし今でも大抵の技師は妊娠後20週目が過ぎると赤ちゃんの性別がわかるように何とかして教えてくれます。最近では$50を別途で支払って性別を知らせるというせこい病院も増えてきているそうです。

プリネイタル・クラス(両親学級)

オンライン辞書ではprenatal classが「妊婦体操」と出てきましたが、調べてみたら日本では「両親学級」と呼ばれているものに近いと思います。

これは赤ちゃんが生まれた後新しく親となる父親と母親に対しての3~5回のクラスで、どうやって妊婦をリラックスさせるか、出産中にどうやってサポート側が援助するかとか実用的な事柄を実践形式で学びます。

当然8~10組くらいのカップルが手を取り合ったり、お互いの目を見つめあったりしているわけですが、初めて親となるカップルには必然のクラスです。

かかりつけの病院などでも提供されているクラスや、プライベートで提供するスタジオなどで費用もことなりますが、僕たちの場合は、出産する総合病院で提供されているクラスを受けました。

(4回のクラスで1組$100ほど)やはり異なる人種が多いカナダではいろんな国を背景とする人々がいるのは当然ながら、同性愛者が多いバンクーバーでは女性二人でクラスを受けている光景も見ます。(もちろんその他の理由で自分の母親とクラスを受けている妊婦さんもいます)いろんな意味でその場にいること自体すべて自分にとっては興味深い経験でしたが、クラスを受講して既に13年以上たった今では正直何を学んだかはあまり覚えていません。

今でも覚えているのは、赤ちゃんを出産する際用いられる呼吸法(長くて深い呼吸法)がいかに体の痛みを軽減することができるかということでした。これは普通に男性にも女性にも適用でき、後々役に立ったこともありました。

子供の名前を考える

最初の子供が生まれる際は前述したように、子供の性別がわからなかったので、産まれるまでに男の子と女の子の名前を両方考えなければなりませんでした。

カナダは移民人が集まった国なので、それこそ最近では学校のクラス名簿でも、いろいろな民族を背景とする名前を見受けます。英語の名前といっても英語名自体年々変化してきています。

ですから名前をつけるにしても50年前、または30年前にはよく使われていた名前があまり聞かれなくなっています。もっとユニークで個性のある名前をという風潮があります。それでもやはり自分の親の名前をつけたりする伝統を存続させる親も見受けられます。僕たちも最初の子供に英語名をつけようということでかなり迷いました。

名前の選択条件はふたつ、
①他の子供達からからかいの対象となる名前は避ける
②日本人が言いやすい名前にする、という点でした。

そのときはまだ僕の家族は皆日本に住んでたので、日本に帰ったときでも家族が簡単に言える名前じゃないと、がっかりするのではないかと思ってのことでした。このため日本人が特に苦手とする舌を巻くR音や、RLが混ざった発音を除いて、名前の選択も大幅に減りました。一番嬉しかったのは、スウェーデン、ウクレイナ系である妻がこの配慮に快く同意してくれたことでした。

結果として、男の子であれば、ルカ(聖書から)、そして女の子であればジャスミン(ディズニー映画から)となったのでした。

日本語名を子供につけるかつけないかは迷う人もたくさんいるようですが、カナダではほとんどの人がミドルネームを持っているため、ミドルネームを日本語名にする例はよく聞きます。ただ名前をつける数には限りがないので親によっては三つも四つもつける欲張りな親もいます。(寿限無、寿限無・・・の話を思い出します)ただどれだけ実用性があるかということは考えるべきだと思います。

カナダでの産後入院事情?

カナダでは、当然のごとく、妊娠期間中はかかりつけの産婦人科医に診察してもらいます。

出産の際はその産婦人科医が登録されている病院に駆けつけることになり、そのお医者さんが属する産婦人科病院というものがありません。そのために出産するときになって病院にかけつけても、顔見知りとなった先生が出産を手伝ってくれるという保証がまったくなく、最初の二人はその時間帯にあてがわれた先生が出産のお手伝いをしてくださいました。ちょっと寂しいと言えばそうなのですが、病院での出産であればとりあえず安心ということなのでしょうか。

それよりも驚いたのがカナダでは赤ちゃんが生まれた後、母子ともに健康な限り、二日後、または次の日には退院の許可が降りることです。赤ちゃんが健康で、産後の母体にも特に医療上の問題さえなければ、家に帰って回復してもらうということです。日本であれば産後の一~二週間は簡単に入院していたのを覚えていたので、これはびっくりでした。

もちろんフォローアップとして看護婦の方が自宅を訪問して下さり、赤ちゃんの身体の測定や、授乳の仕方についていろいろとサポートします。

ただこれを通して学んだのが、カナダの女性群はタフだということ、と同時に赤ちゃんを生むということ自体は病気でも治療が必要な医療上の問題でもないということ。
人間が生活の中で営む活動のひとつであるという事でした。

ただその中で、あらゆる状況に対応できるように医療器具が備わった病院で赤ちゃんを出産することには安心感があります。

もちろん出産後は母親は安静が求められますが、その期間中は家族ともっと親密な時間をともに楽しむ時期ともなり、新しく生まれてきた赤ちゃんとともに順応して行くのです。

僕の場合なぜか赤ちゃんが産まれるまで、男の子が産まれるものと勝手に決めつけていたので、ミニカーなどを買い揃えていたのですが、なんと見事に50%であったろう予想が外れ、女の子が誕生したのでした。前述通り、名前はジャスミンとなりました。

going home.jpg

誕生後二日後、ママと共に無事に退院

 
(おまけ)ベビー写真

first photo.jpg

赤ちゃんが生まれた次の日、病院は勝手に業者を連れてきて、ベビーベッドに横たわるわが娘、ジャスミンを真上から撮影しました。

すべてがてんてこ舞いの出産後翌日、ニコニコしながら室内に入ってくるカメラマンに、わけもわからないままベビー写真をパチリ撮られて、数週間後送られてきた写真がこの写真でした。

ウォレットサイズといわれるポケットサイズの写真が8枚と、大きなシートの写真がどアップ。初めての子供であったにもかかわらずあまりの写真写りの悪さに写真を送り返すことに。付いてきた説明には、写真を買わなくても一枚だけ切り取って「ぜひ記念に」ということだったので、じゃあ、ということで一枚だけキープしました。でもせっかく写真撮りに来てくれるなら、もっとましな写真とってくれればいいのに。

ベビーシャワー

赤ちゃんが生まれた後は、大抵親戚や友人の間で「ベビーシャワー」というパーティーを開くのがカナダでは習慣とされています。

「シャワー」というのもお風呂でのシャワーを想像しますが、「贈り物でのシャワー」というのがもっと適しているのでしょうか、主に赤ちゃんのためのギフトを持ち寄って、少しでも母親の負担を減らすとともに、出産を終えた母親の出産話を聞く機会ともなります。

通常女性だけの集まりとみなされています。ちなみにシャワーはベビーシャワーの他に結婚を控えた新婦のためのシャワー(ブライダル・シャワー)もありますが、いずれも時として男性陣も参加できるようにと男女混合のシャワーパーティーも聞くことがあります。その場合は「ジャック&ジル」と呼ばれています。

ベビーシャワーの話に戻りますが、赤ちゃんを産んだ本人が催すことは当然僭越とされるため、友人、または親戚の誰かが大抵の場合丁寧な招待状まで用意してパーティーのお知らせをし、パーティー会場(普通は誰かのお宅)を指定します。大抵は生まれた赤ちゃんのために洋服だのおもちゃだのギフトをもちよりますが、ごく稀に赤ちゃんを産んだお母さんのためのシャワーが催されることもあります。(結構ひんしゅくを買います)

baby shower.jpg

ベビーシャワーの風景

男性もOKのジャック&ジル・シャワーパーティー

マターニティーリーブ(育児休暇)

カナダでは子供が出産されるまでの1年間に700時間以上(パート・全時間含む)就労していた母親は出産後、政府から1年間(52週間)補助金をもらえる制度があります。

これは失業保険と同じ制度で、実に寛大な制度ではあるのですが、一般には政府からの手当はそれまで当人が毎週所得していた収入の55%まで、しかも上限が週最高額$413までとされているので、当然年収がはるかに高い母親は子供を保育所に預けてすぐに仕事に戻るのを余儀なくされるようです。

保育所といえば、これまた資格を持つ保育士が運営する質の高い保育所をあらかじめ予約するのも大変らしくて、僕の同僚は初めての子供が生まれる前に既に保育所に予約を入れていました。

またこの補助金は父親も申請の対象となるため、母親と父親で両方が6ヶ月間休暇を取るカップルや、母親が援助を得られない場合父親が代わりに援助を受ける例もしばしば見ます。ちなみに育児休暇を1年間取る母親には、期間終了後再び同じ職場で雇用されるという保障が政府によって定められています。

育児手当もわずかながら、子供の数と収入によって毎月支給されます。(ありがとうカナダ)6歳まで毎月$100の手当てが、18歳まで課税なしの手当てが子供の数と比例計算されて与えられます。(ありがとねカナダ)

所得税、州税などが高いカナダではこうした処置を設けることにより子を持つ親を援助しようとする姿勢が見られます。

正直なところ当初は、そんな金銭など関係なしに母親は子供と一緒に居た方がいいのでは、と周りを見ながらいぶかっていた自分でしたが、やはり物価の高い社会でやっていくにはある程度収入も必要なわけで、子供の数が増えていくたびに今は一生懸命働くたくましい女性を見ながらいつも感心しています。世界中のママ達、頑張れ!

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